ちょっと真似してみたい。他店の良いところ・工夫してるところ

年数が経つとショップのスタイルも良くも悪くも固定化されてしまう。そこで、他店が実践している良いところや工夫してるところなどを改めて確認し、自店に足りない点や真似しておきたい点はどんどん導入していきたいところだ。そういったポイントをバックナンバーからいくつか挙げてみたので、是非とも今後のショップ運営の参考にしていただきたい。

【ポイント1】ツーリングはユーザー主導で。また、タンデムでバイク体験も

おそらくほとんどの販売店が何らかのイベント(ツーリングやレース、走行会など)を企画しているはずで、イベントは一切やっていないというところは極少数のはず。なので、すでにショップ独自のスタイルが出来上がっているだろうが、東京都の販売店の場合、

「ツーリングの企画は参加メンバーに作らせています。普通は店がプランを練るかもしれませんが、工程的に不可能な時にアドバイスする程度です。そうした訓練を重ねることで、今度は勝手に自分たちでツーリングに行くようになります」(以前の記事を抜粋、加筆)

こうしてツーリングに行く回数が増える→メンテナンスの需要が増えるというサイクルを生み出してるのだ。

ショップ側が積極的に企画、積極的に誘うという方法ももちろんありだが、ユーザーの自主性を尊重する方が「自分でバイク遊びをする」という意識を強く定着させられる可能性が高い。これはツーリングに限らず、サーキット走行会やレースの参加についても同様で、バイクの遊び方を知らず、ファッションで乗るだけと言われる世代にも有効なはずである。

また、バイクの楽しさを経験していないのがバイク離れを起こしている原因と考え、

「免許を持っている方にはツーリング等の機会を沢山提供することでバイクの楽しさを感じて頂き、免許を持っていない方には、まずタンデムでバイクに乗る機会を作り、風を切って走るバイクの醍醐味を感じて頂きたい」(以前の記事を抜粋、加筆)

と、熊本県の販売店ではタンデムの機会を設け、「今後のバイクユーザー」もターゲットにしている。タンデムの体験を機に、「免許を取ろう、バイクに乗ろう」と動機づけするのは、最も効果的な方法のひとつかもしれない。既にバイクに乗っているユーザーにツーリングを設定するのはある意味当たり前であるが、その一歩手前の見込みユーザーの獲得もイベントの趣旨に入れていきたいところだ。

【ポイント2】レンタルや自転車併売など販売スタイルの拡大

ウチはスクーターがメインだ、オフロードバイク専門だ、カスタム主体だといったショップの特色があり、それを「ウリ」として他店と差別化を図り、集客に結びつけているわけだが、時代と共に販売スタイルや商材を変更していき、ニーズに合わせることも必要である。取り扱いバイクを変更していくのもひとつの手であり、新たな商材を加えていく方法もある。その選択肢として自転車やレンタルバイクが挙げられる。

周辺に観光スポット&ツーリングスポットが多い、他の交通機関でもショップにアクセスしやすいといった環境であれば、レンタルバイクを提供しやすいはず。また、都市圏でバイクを所有しにくいという一見するとバイクに悪い環境でもレンタルバイクの需要を見込める。熊本県の販売店では、

「当初はあまり利用者がいませんでしたが、ネット予約を可能にしてから飛躍的に利用者数が増えました。土日は全ての車両が貸し出しになることもあります。熊本インターから近いこともあって、クルマで来店し、レンタルしてから阿蘇方面に向かう方が多い。また、空港からクルマで来店しレンタルされる遠方の方もいらっしゃいます」(以前の記事を抜粋、加筆)

熊本県内だけでなく、四国、関東、東北からの利用者も多いようで、同じようにツーリングスポットがほど良い距離にある販売店はなら導入する価値はある。レンタルなのでリピーターを狙っていくのはもちろんだが、バイクの購入につなげていくこともできるはずだ。

また、取り扱うバイクのカテゴリーを増やすのではなく、クロスバイクやロードレーサーといった「スポーツ自転車」を商材に加えていくのも、新たなユーザーの獲得や、既存ユーザーへのサービスにつながるはずだ。バイクだけ、自転車だけとどちらかに偏っているユーザーが多いかもしれないが、両方をバランス良く趣味にしているユーザーや、バイクに乗るトレーニングとして自転車を取り入れてるユーザーもいることを考えると、中古自転車も取り扱い可能であることを明示おくだけでも、新たな機会を生むはずである。

【ポイント3】広告にお金をかけず、HPなどのネットを活用

今やホームページをはじめとしたインターネット上のツールは必要不可欠である。以前は、ホームページ制作の知識がなければ自身で公開するのは難しかったが、今ではブログやSNS等、誰でも簡単に使えるツールが登場し、専門家に依頼せずとも自分で情報発信できるようになった。実際、ショップの代表やスタッフ自身で運営しているところは多い。東京都の販売店では、

「立派なホームページと比べると見劣りする部分もありますが、やりたいことをストレートに書けて、価値観が合うお客さんが実際に店に足を運んでもらっていることが多い。特に、初心者が不安に感じることも書いてるので、それに共感してくれるお客さんも多いのだと思います。何万もかけて媒体に載せることも必要だと思いますが、お金をかけずに自分の伝えたいことを伝えられるホームページを活用しない手はないです(以前の記事を抜粋、加筆)」

まだ、ホームページ等を積極的に活用していないところは、是非ブログ等の簡単なものからスタートしてみてほしい。その際には、バイク関連のポータルサイト、中古バイクサイトも併用していきたい。

ここで、「お金をかけず」という点は共通しているが、逆に、一切の広告活動は行わず、かつ、ホームページにも掲載しないという徹底ぶりもある。

「広告を打つと、かなりの問い合わせや来店があるのは容易に想像できるし、すぐに売れると思います。でも、そうすると、バイクの所在が分からなくなってしまう可能性があるのです。中には来店することもなく、お金だけを振り込んでくる人もいるでしょう。そして、こっちはバイクを送るだけ。顔を会わすこともない。こういうのが味気なくてイヤなのです。対面で販売すると、そのお客さんがバイクを手放す時は、必ずウチに持ってきてくれるのです。ウチが販売した車両であれば、間違いなく再販できる自信があるので、高く買い取ることができる。そんなところにもメリットを感じてくれているのかもしれません(以前の記事を抜粋、加筆)」

単に顔を会わさない通信販売が嫌いというのではなく、「対面販売した車両は必ず戻ってくる」という実績を元にしている。これは、一般車ではなく特殊車ならではの傾向かもしれない。全てを対面販売というのも難しいだろうから、希少価値のある車両のみ対面販売限定といった販売方法もありだろう。
 

【ポイント4】お茶の提供や工具の貸し出しなどの細やかなサービスも

ツーリング等のイベントや、ホームページの活用等、多くの販売店でも取り入れているポイントの他、細かい点をピックアップしてみると、車両の展示方法の工夫が挙げられる。主力ではあるが趣味性の高いバイクを店内に下げ、店頭や道路沿いの目立つところにスクーター等の一般車両を展示することで、入りやすさを考慮し、バイクショップの敷居の高さを払拭するようにしているショップもある。主力を目立つところに展示しないのは逆行しているようだが、幅広いユーザーを来店させるには、あえてカラーを表に出さないのも方法だ。

また、「お客様も業者も全員、バイクのことでなくても、来店した方にはお茶を出しています」(以前の記事を抜粋、加筆)といった細やかな接客サービスを心掛けているショップもある。お茶を出すことが販売に直結するわけではないが、居心地の良さや来店のしやすさは、間違いなく後々につながるはず。こういった細やかなサービスは別業種のやり方も参考にでき、最も手軽に真似できる良いポイントだ。

目に見えず、曖昧であり、漠然としており、個人によって感じ方が異なるため、とても難しい「顧客満足」。前述のお茶の提供や、常連ユーザーへの工具や作業スペースの貸し出し、破格値でのオイル交換サービスなど、プライスレスなサービス&価格以上のサービスで、ショップそれぞれが顧客満足を実現していが、良い点や自店に足りない点はどんどん取り入れていきたいところだ。

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