便利と危険は隣り合わせ。基本をおさえて安心してネットと付き合おう!

ADSLなどの常時接続環境が普及し、インターネットは欠かせないツールのひとつとなった。メールなら時間や相手の都合を気にせず連絡できるし、気の向くままHPで情報収集することも可能だ。ネット通販も当たり前になっている。
 ネットは便利な一方、危険な面もある。ウイルス、カード番号盗難、悪質なプログラム、不正侵入・・・などなど。こうしたネットの危険に対し、「メールソフトやブラウザのこの機能をオフにしよう」という解説を見たことがあるはずだ。危険の要因となる機能をオフにするのも一つの対策だが、その分パソコンの使い勝手が悪くなる。
 例えば、添付ファイルが原因でウイルス感染するからといって、添付ファイル付きのメールを開かずに捨てるわけにはいかない。「ウイルス感染や情報流出につながるブラウザの機能」をオフにすれば、多くのHPが見られなくなってしまう。
ウイルスがどのように感染するのかなど、その仕組みと対処法を知っていれば、むやみにソフトの機能をオフにする必要はない。今回は「ウイルス編」と「HP編」で、安心のネット利用法を紹介する。

ウイルス編

多くの人にとって、ウイルスは怖いというのが実感だろう。しかし、ウイルスの正体と、正しい対策を知れば、それほど恐れる必要はない。
 ウイルスの感染経路はメールが主で、被害はハードディスクのデータを破壊する恐ろしいタイプから、ただ単に感染だけが広がるタイプまで様々だ。
 メールの場合、必ず添付ファイルにウイルスが仕組まれているので、疑いがある添付ファイルを開かないようにすれば感染を防げる。最近のウイルスは、メールの件名や本文にうっかり開いてしまうような細工をしてあるものが多く、インターネット・エクスプローラ(IE)の不具合を悪用し、メール本文を見ただけで添付ファイルのウイルスを勝手に開くものもある。
 ウイルス対策はウイルスバスターやノートンをはじめとした「ウイルス対策ソフト」を正しく利用すればよいが、これに関しては以前同誌で取り上げた記事を参考にしていただくことにして、ここではさらに一歩進めて、ウインドウズ(WIN)とIEをよりウイルスに強い状態に更新する方法を見よう。万が一、対策ソフトのウイルス情報が古かった場合でも、かなりの確率で感染を防げるのだ。
ウイルスに強い状態にするには、セキュリティーホールを解消することがポイント。これは、ウイルスの標的になるプログラム不具合、イメージとしては隙間のようなものだ。メールをプレビューするだけで感染するウイルスも、IEのセキュリティーホールを悪用している。
IEはセキュリティーホールが多く危険と言われているが、マイクロソフト(MS)は、セキュリティーホールが発見されると、修正プログラムを作り、ネット上で無償配布している。例えば、プレビュー画面で感染するウイルスも、それが発見された半年前には修正プログラムが公開されていた。つまり、修正プログラムを組み込んでおけば、セキュリティーホールが解消し、ウイルスに強い状態になるのだ。
 修正プログラムを入手する方法にはいくつかあるが、通常はウインドウズ・アップデートを利用するとよい。これは、修正プログラムや追加ソフトを、一覧画面から選ぶだけで、MSのサーバーからダウンロードできる機能だ。「IE6」や「重要な更新パッケージ」、「重要な更新の通知」は必ずダウンロードしておこう。
 IE6をインストールすると、メールソフトのアウトルック・エクスプレス(OE)も最新版のOE6になる。ウイルスに感染する可能性を低くできる「添付ファイル制限」が新たに追加され、ウイルスの添付ファイルに多い、拡張子が「exe」などの実行形式ファイルが開けなくなる設定ができるようになっている。
 ウイルスとともに気になる不正アクセス。ショップや一般家庭でも常時接続が当たり前になっているので、不正アクセスと無縁ではなくなっている。
 一般のパソコンであり得る不正アクセスは、主に「共有フォルダに侵入」と「バックドアソフトの活動」の二つで、どちらも簡単に対策できる。
 LANを構築している場合、他のパソコンとファイルを共有するための「共有フォルダ」を利用しているだろう。ここで、共有フォルダにパスワードを設定していないと、同じプロバイダーを利用する他のユーザーも簡単にアクセスできてしまう。また、ウイルスの中には、共有フォルダを探して、そこにウイルスを感染させるものがある。共有フォルダには必ずパスワードを設定しよう。
 さらに、共有フォルダへの不正アクセスを完全に防ぐにはルーターを設置するのが有効だ。インターネットとLANの間のフィルタとして、共有フォルダに関するものを遮断してくれる。
 次はバックドア対策だ。これは、外部から自分のパソコンがコントロールされてしまうソフトのこと。ウイルスと同様にメールの添付ファイルを開くか、HPからダウンロードしたときに組み込まれてしまう。
 バックドアは、ウイルス対策ソフトがあれば、パソコンに組み込まれる前に除去されるので心配はない。もし、ウイルス対策ソフトで防げなくても、ファイアウォール機能を使えば、バックドアの通信を遮断できる。

ホームページ編

HPを閲覧していて遭遇するトラブルは、少し注意を払えば避けられるものばかりだ。例えば、リンクをクリックしたら、新しい画面が次々と開くブラウザ・クラッシャー(ブラクラ)は、ブラウザの便利機能を悪用した「いたずら」の一つだ。これを怖がって便利機能をオフにしてしまうと、HP閲覧が不便になる。安心してHPを楽しむためにも、まずはトラブルの起こる仕組みをしっかり押さえ、対策方法を覚えよう。
 閲覧中にリンクをクリックするだけで起こるトラブルとして、前述のブラクラや、悪質なプログラムがパソコンに組み込まれ、勝手にモデムがダイヤルアップすることが挙げられる。こうしたリンクはアダルトサイトや、掲示板にもサイトを紹介する書き込みと一緒にリンクが貼られている場合がある。
 リンクをクリックして「18歳以上は『はい』を押してください」といった画面や、「exe」という拡張子が付いたファイル名のプログラムをダウンロードする画面が開いたときは要注意。どちらも『はい』をクリックすると、ダイヤルQ2や国際電話につながるダイヤルアップ設定が勝手に作られる。この設定のまま接続を続けてると、後で高額の請求が来ることになるので、勝手に作られたダイヤルアップ設定は必ず削除しよう。また、既存のダイヤルアップ設定の電話番号だけを書き換えてしまうこともあるので気を付けたい。なお、主流となりつつあるADSLやCATVを利用してインターネットに接続している場合には、このようなトラブルは起こらない。アナログ回線やISDN回線でダイヤルアップ接続している方は要注意だ。
こうした認証画面は「Active(アクティブ)X」という機能を使っている。これに関する設定は、IEの場合「インターネットオプション」で変更できるが、ダイヤルアップ先を変えるような悪質なアクティブXだけを使用不可にすることはできない。便利な機能までオフにするよりは、「年齢チェック」画面が出ても「はい」を押さないように心がけよう。
次に、ブラクラはあまりにも多くの画面が開くので、ウインドウズがフリーズすることもある。しかし、特に悪質なプログラムが組み込まれるわけではないので、開いた画面を閉じればOKだ。次々に画面が開くので、画面右上の「×」をクリックして閉じても追いつかない時は、「Alt」+「F4」キーを何度も押して画面を閉じよう。マウス操作よりも素早く画面を閉じることができる。
ブラクラは「Java(ジャバ)スクリプト」という機能を使っている。ジャバスクリプトもアクティブXと同様にHP閲覧を便利にする機能で、ブラウザの設定を変更して、ジャバスクリプトをオフにすれば、このようなトラブルは防げるが、使い勝手も悪くなる。むしろ、怪しいリンクをクリックしないことで対処したい。

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