いよいよ高速道路二人乗り解禁。マナーと技量を再認識させ安全なタンデムライディングを!

バイクユーザー、ショップ双方にとって記念すべき日がやって来る。2005年4月1日、道交法で禁止されていた高速道路二人乗りが、ついに解禁されるのだ。これでようやく、日本でも欧米型の長距離タンデムツーリングが可能になる。しかし、一般道とは違った高速道ならではの注意点があることをユーザーは認知しなければならないし、ショップが指導していくことも必要だろう。今回は、改めて高速での二人乗りを見つめ直してみたい。

高速道路二人乗り禁止から解禁まで

50代以降の方ならご存知だと思うが、我が国最初の長距離高速道路である名神高速道路が開通した1963年(昭和38年)当時、高速道路での二人乗りは禁止されていなかった。しかし、1965年(昭和40年)、事故多発を理由に禁止されてしまい、40年間に渡る規制のせいで、日本のバイクユーザーのほとんどは高速道路の長距離タンデム走行を知らないまま現在に至っている。その後、バイクの性能が向上し、制動能力、直進安定性が飛躍的に改善されても、暴走族、3ない運動など、バイクを悪とする世論があるため、高速道路二人乗り解禁が話題に上ることはなかった。
その後、二人乗り禁止・最高速など、高速道路にまつわる様々な問題を提起し、警視庁に高速道路の規制改善を求める要望書を提出する動きがあったのは90年代に入ってから。やがてこの運動は日本自動車工業会(JAMA)、全国オートバイ組合連合会などの業界関連団体にも波及し、大きな運動へと発展していくこととなる。
さらに、高速道路問題の解決は市場開放問題苦情処理対策本部(OTO)に持ち込まれ、日本の高速道路規制が外国製大型二輪車の輸入障壁になっているという視点での議論にまで発展した。
この問題は、国会でも民主党議員から法改正に向けて道路交通法の改正案が提出され、議員立法の動きが起こる。そしてその一方では、自由民主党オートバイ議員連盟が設立され、与野党の境なく政治レベルでの動きが始まった。2003年(平成15年)警察庁は高速道路二人乗りの走行実験を実施。その安全性が実証できたとして、2004年3月に内閣提出議案として道路交通法の改正案を国会に提出。同年6月、ついに可決成立するに至ったというわけだ。

今後、ショップがやるべきことは?

高速道路の二人乗り解禁は、ユーザー、バイクショップの双方にとって大きな朗報だが、単に喜んでばかりはいられず、今後のマナーが重要になってくるだろう。
前述の通り、1965年の規制開始から40年ぶりに、自動二輪車による高速道路の二人乗りが解禁となる。4月1日はユーザーはもちろんのこと二輪業界も待ち望んだ日である。条件付きとは言え、高速道路のタンデム走行が可能となるのは、様々な面において好影響を及ぼすに違いない。
実際の走行を考えると、一般道は歩行者、信号、交差点、対向車、交通混雑などなど、様々な悪条件が揃っているが、巡航速度は上がるものの、高速道路にはそういった要因は少ない。高速道路を利用すれば、一般道よりも安全に短時間で長距離ツーリングを楽しむことができるのは明白だ。
ゴールデンウィークに向け、すでに高速道路をルートに入れたタンデムツーリングを計画しているショップやユーザーも多いことだろう。一般道でも同じだが、二人乗りで事故を起こしたら、自分だけでなく同乗者も巻き込んでしまう。もし、高速道路上で二人乗りでの事故が多発したら、「やはり危険」と判断され、また禁止になってしまうことは間違いない。
ここで改めて、ライディングスクールや各メーカーが主催するタンデム試乗会のようなもので、タンデムライディングの難しさや、低中速域と高速域でのバイクの挙動の違いといったものを体験させるのも、ひとつのショップイベントとして盛り込んでみてはどうだろうか。ある程度バイクに乗れてきたユーザーは「自分は上手い」と錯覚しがち。同乗者もあわせ、タンデム特有のテクニックやマナーなどを再認識させることで、安全にバイクライフをエンジョイしてもらえるような配慮が必要になってくるだろう。また、車種ごとのタンデム向き不向きを理解させれば、代替促進にもつながるかもしれない。
4月1日からの二人乗り解禁は、社会から厳しい目で見守られていることを忘れず、ユーザーは安全運転のルールとマナーを守るに徹してもらうよう、ショップ側からもアドバイスしたいところだ。高速道路での二人乗りが社会に受け入れられてはじめて、今後の二輪車の存在の評価されていくことだろう。

アンケート調査結果

中古オートバイ買取専門店「バイク王」を全国展開するアイケイコーポレーション(加藤義博社長)は、高速道路二人乗り解禁などの法改正について昨年末、アンケート方式による意識調査を行い、その結果を発表した。この調査はユーザー700人に対して昨年12月に実施したアンケートを独自に集計したものだ。

Q 法改正により、二輪車の高速道路二人乗りが解禁されることを知っていますか?

知っている 知らない
男性 77.9% 22.1%
女性 61.2% 38.8%
全体 76.7% 23.3%

この質問に対して、知っている76.7%、知らない23.3%だった。アンケートに対象となるユーザーがバイク売却者ということで、二人乗りに対する認知度は一般社会の平均より高くなっているかもしれない。「知っている」の割合を多いと見るか、まだ不十分と見るかは意見が分かれそうだが、調査が昨年12月ということを考えると妥当な数字と言える。男女別での集計では、「知っている」と答えた男性が77.9%、女性が61.2%となっている。

Q 高速道路二人乗り解禁に伴い、タンデムライダーが増えると思いますか?

思う 思わない
全体 76.0% 24.0%

この回答結果が示すように、タンデムライダーは増加することが予想される。今まで2台で行ってたツーリングが1台でタンデムに、または、タンデムで近場のツーリングだったのが遠方にと、バイクの楽しみ方も変化するだろう。

Q 高速道路で一緒にタンデムしたい人は誰ですか?

全体の集計では、高速道路でタンデムしたい人は、夫(妻)28.8%、恋人26.7%、友達18.6%、子供13.1%などとなっている。世代別のデータでは「友達」が多数派となっているのは10代(39.1%)と20代(25.8%)の若者層。30代以降は10%強で推移しているのが特徴的だ。また男女別でもっとも差が出たのは「子供」の項目で、男性の13.2%に対し、女性は4.95という結果が出ている。

高速道路二人乗りの条件
● 年齢20歳以上
● 大型二輪免許または普通二輪免許を受けた期間が3年以上
● バイクの排気量は125cc以上

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